【完】幼なじみのあいつ


「ごめん!忘れ物しちゃった!2人とも先に行ってて」


「いってらっしゃーい」


「うん」



香織と美香の返事を聞いてから、もう一度大浴場に向かう私。


さっきまで空いていた大浴場が今は大分、人が増えていた。


それでも私が使っていたロッカーはまだ、誰にも使われていなかったみたいでカギが刺さっている。


パカリ…と開けたロッカーには私の携帯が一つ、寂しそうに鎮座していた。




「あったーっ!良かった」


急いで携帯を手に取り、手提げ袋に入れた。


そしてさっき通った道を、もう一度歩き始める。



大浴場とは一変、廊下には私以外誰もいない。


辺りはシーンと静まり返っていた。



あまりにも静かすぎて、薄暗い廊下が少し薄気味悪く感じて辺りをキョロキョロしてしまう。


足取りは自然と、小走りだ。




お化けが出そうなこの雰囲気が、怖すぎる。



内心ドキドキしながら黙々と歩いて行く。


すると何やらボソボソと、話し声が聞こえてきた。




踊り場辺りから、聞えてきている?


そのヒソヒソ声が気になった私は道を逸れ、踊り場に向かってみる。




この角を曲がれば、踊り場だ。


立ち止まりソッと、角から覗いて見る。



すると---



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