【完】幼なじみのあいつ
静かにその場から離れた私は、一気に駆け出した。
もう、無我夢中で---
一心不乱に走った私は階段下で足を止め、力なくしゃがみ込む。
また、見ちゃったよぉ。
ポロポロと涙が零れるのを感じながら、さっきのシーンがどうしても頭にこびり付いて離れない。
胸が…、苦しい。
もう、見たくなかったのに---
なんで大好きな人のキスシーンをまた、見なくちゃいけないの?!
「…ふっ、……うぅっ…」
後から後からこぼれ落ちる涙を何度も何度も拭い、私は声を殺して泣いていた。