絡繰りに潜む誘惑
「あれっ!?童顔のぼうずじゃねぇーか!!毎日懲りねぇなぁ…こんなとこ来たって面白いモンなんてねぇのによ」
脱色しているのか、白髪の若男が声をかけてくる。
手の甲には魔法陣の刺青…
「童顔言うなッ!!」
彼の言動に俺は噛み付いた。
昨日からお嬢さんだの童顔だの幼顔で悪かったな!!
ぷんすかとそっぽを向いた。
「ちょっと兄さん、謝んなよ!!ごめんね。悪気は無いんだ」
門番のもう1人が困ったように謝った。
[兄]と呼ばれた青年とは裏腹な彼は、艶めいた黒髪をしていた。
そして、兄と同様に手の甲には魔法陣の刺青。
何故、こんなに若い兄弟が門番をしているかなんて一目瞭然だった。
この2人が魔導師だから。