【完】幼なじみのあいつ ~翔ちゃんサイドストーリー~
「キスの時は目を閉じるもんだぜ?鈴…」
恥ずかしそうに下を向く鈴が愛しくて、俺は目を細めた。
「だって突然だったし、ファーストキスだったんだもん…」
キスが始めて?
……いや、違う。
鈴は---
「…鈴、お前ファーストキスじゃねーぞ」
「翔ちゃん…、私、恥ずかしながらキス…、した事ないんだけど」
「だから、鈴が覚えてないだけでした事あ……、やべっ……、今のなしな」
あっ……、
これは言わない方がいいよな?
お互いの同意があったわけじゃなかったんだし---
「…なんの事?」
「いやっ、何でもねぇ」
かなり気になるのかジーッと俺を見る鈴に合わせる顔がなくて、つい目を逸らしてしまった。
ダメだ…、
今だに鈴から強い視線を感じる。