【完】幼なじみのあいつ ~翔ちゃんサイドストーリー~
終章
夏合宿が終わって、数日経ったある日の事だった。
今俺は、亮平の部屋にいる。
そう…、
鈴との事を言うために---
「…りょ、亮平。俺さ」
シーンと静まり返っていた、二人の間の空気を破ったのは俺だ。
黙って麦茶を飲んでいる亮平にさっきからどう言おうかと悩んだ末、ゴクンと唾を飲み込んでから口を開く。
かなり緊張していたからか、クーラーのかかっている部屋にも関わらず俺の身体からは汗が噴出しまくりだ。
「……おめでとう」
まだなにも言っていないのに、亮平の口から出たのはおめでとうの一言。
俺はビックリして目を見開いた。
そんな亮平は、俺から視線を逸らすとまた麦茶に口をつける。
…飲みすぎだろ?
そうは思うがそんな事よりも、えっ?
「なにが?」
「…鈴と上手くいったんだろ?」
「………」
本当にコイツのカンの良さは、凄いものがある。
なんだコイツ、何者なんだ?
俺は思った。
コイツはいつか大物になるだろうと---
俺も麦茶を一口飲み、気持ちを落ち着かせる。