【完】幼なじみのあいつ ~翔ちゃんサイドストーリー~
「ゴメンッ!」
俺は亮平に頭を下げた。
亮平はずっと鈴が好きだった。
鈴と付き合っていたのに、俺が鈴を好きになった事で亮平に辛い思いをさせてしまったのだ。
だから俺は謝らなければいけないと、ずっと思っていたんだ。
「…頭をあげろ、翔」
その言葉にソッと顔を上げながら、亮平を伺い見る。
そこにはフッと口角を上げ、笑っている亮平がいてホッとした。
「亮平…」
「殴らせろ、翔」
「は?」
その言葉に身体が固まった。
殴らせろ?
イヤだと言うのはなしだよな?
俺の事を睨みつける亮平にため息を吐き、そして覚悟を決める。
まっ、しゃーねーわな。
目を瞑りゆっくりと頷いた。
…うん、覚悟はした。
いつでもかかって来い!
亮平の動く気配を感じた。
きっと今、腕を振り上げているんだろう---
俺は次の衝撃に備える為に、ギュッと目を瞑った。