【完】幼なじみのあいつ ~翔ちゃんサイドストーリー~


鈴と亮平が抱き合っているのが、目に飛び込んできてびっくりだ。


すぐに二人の間に割って入ろうとして一歩足を踏み出すが、止めておく事にした。



亮平に抱きしめられている鈴は泣いていて、亮平もとても辛そうな顔をしていたから---


しばらく見ていたがまだ、離れる気配はない。




だんだんと苛立ってきて、二人に近づいていく。




「お前ら、いつまでそうしてる気だ?一応ここに彼氏が居るんだけどさー」


「小さい頃からずっと好きだった鈴への気持ちを無理やり忘れてやるんだ。これくらいは我慢しろ…」



鈴の肩越しから俺を睨みつけるようにそう言った亮平に納得し、一度ため息を吐いてからもう一度コースへ戻った。



本当は大事な鈴が抱きしめられるのはイヤだったけど、しかし亮平は少しの期間だったとはいえ鈴の彼氏だった。


小さい頃からずっと、鈴の事を守ってくれていたしな。



だから今だけ、鈴を貸してやる。


今だけだぜ?


今後、鈴の貸し出しはなしだからな---




そして俺は苛立つ思いを、白球にぶつけた。


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