【完】幼なじみのあいつ ~翔ちゃんサイドストーリー~
「…亮平、鈴と付き合ってるってどう言う事だ?」
生徒達で賑わう廊下を歩きながら、疑問に思っていた事を口にした。
「その言葉通りだが」
「…いつから?」
「…さっき」
やっぱりコイツは俺が早紀ちゃんと別れた事に、焦りを感じていたのだろうか?
目を見開きながら驚く俺をチラリと見て、亮平はまた前を見る。
「お前…。俺が今、誰を好きか知ってるんだろ?」
「………」
俺の言葉に、亮平の眉がピクリと動く。
やっぱコイツは知っていると分かり、亮平を睨み付けた。
「やっぱり知ってるんだな?どうして焦ってる?」
「焦る?…馬鹿を言うな、なにを焦る必要がある。くだらん」
部屋の前に辿り着いた亮平は鍵で扉を開け、さっさと部屋へ入ってしまった。
「………」
閉まった扉をジッと見ながら眉を潜める。
「テメーっ!閉めんじゃねぇっ!開けやがれっ!!!」
閉まったドアをガンッと蹴り、わざと閉めやがった亮平に更に嫌悪感を抱く。
今日一日の行動は全て班行動だったのだが、俺と亮平の険悪な状況によりとても楽しい一日とは言えなかった。