【完】幼なじみのあいつ ~翔ちゃんサイドストーリー~
鈴は肩を抱かれるのが嫌なのか、身を捩った。
亮平の腕が鈴の肩から離れ、そして鈴の手を握る。
手を繋ぐのは嫌じゃないのか、鈴は全く抵抗を見せず素直に手を繋いだまま。
その光景に俺は、拳をギュッと握り締めながら二人を睨みつける。
亮平…、もしかして俺に見せ付けているのか?
二人を見ていると、ムカつくくらいイライラする。
だったら目を逸らせばいいのに、二人から視線を逸らせないのだ。
ふいに鈴が後ろを振り返り俺を見る。
俺と目が合った鈴は、ビックリした顔をしてすぐに前を向く。
ヤバッ!
睨んでいるの見られたか?
急いで顔を横に向け、視界に入ってきた岩を見る。
そして何事もなかったかのような態度で、景色をじっと見た。
それから少し時間が経ち、ふと気付くと鈴がゴソゴソと動いているのが視界に入る。
何気にそっちを見ていたら、亮平の膝に鈴が頭を乗せていた。
「っ………」
何故、鈴がそうしたのかは分かる。
乗り物に弱い鈴のことだからきっと、具合が悪くなったのだろう---
しかしよりによって、亮平の膝の上に頭を乗せるとは…。
イライライライライラ……………