【完】幼なじみのあいつ ~翔ちゃんサイドストーリー~
2章
修学旅行から帰って幾日か経ったある日、早紀ちゃんから呼び出しを受けた。
今更なんの用事だろうか?
そう思いながら裏庭に行くと、早紀ちゃんは顔を下に向け木にもたれ掛かっている。
「早紀ちゃん?」
俺の声に弾かれたように顔を上げ、俺の姿を確認すると傍に近寄ってくる。
「また、付き合って欲しいの」
「…えっ?」
俺をジッと見ながらそう言った早紀ちゃんの言葉にびっくりだ。
驚きすぎて言葉が出ない。
唖然とする俺を他所に、俺に抱きついてくる早紀ちゃん。
「付き合ってくれないと、鈴さんになにするか分からないよ?」
慌てて早紀ちゃんを自分から離そうとした時、鈴の名前が出てきて手を止める。
「なに言ってんの?」
「翔ちゃんが本当に好きなの…。翔ちゃんが私の傍に居てくれないなら、なにするか分からないよっ。翔ちゃんから別れ話を切り出されてから、私…。辛くて辛くて堪らなかったの。お願い…」