【完】幼なじみのあいつ ~翔ちゃんサイドストーリー~
俺の胸に顔を寄せ、ジッと俺の次の言葉を待つ早紀ちゃん。
えっと…、なんて言ってたっけ?
また付き合って?
鈴になにするか分からない?
早紀ちゃんて、そんな事を言う子だったか?
「え?………付き合えないって言ったよな?なんでそこで鈴の名前が出るんだよ」
ビクッと肩を震わせながら、涙目で俺を見てくる。
そんな早紀ちゃんを、俺は無表情で見ていたかもしれない。
もしかしたら、睨んでいたのかも?
おびえた顔をする早紀ちゃんを見ながら、そう思った。
「鈴さんがいなければ私達はまだ付き合ってたのにって思ったら、凄く鈴さんを恨んでしまっていたの。ごめんなさい…。でも、翔ちゃんだって突然別れ話をするなんてずるいよっ!………お願い。辛くて辛くて堪らないの。辛すぎて鈴さんになにかをしようとしている自分も辛い---」
まぁ、そうだよな。
俺が一方的に鈴を好きになって、そして勝手に別れ話をした。
もう少し、時間をかけた方が良かったのかもしれない…。
早紀ちゃんだって心の準備が、必要だったのかもな---