【完】幼なじみのあいつ ~翔ちゃんサイドストーリー~


地区予選が始まって、間もなくの事だった。


俺は部活の練習で疲れた身体を引きずるように薄暗くなった夜道を歩いていたら、後ろから俺の名前を呼ぶ声が聞こえてきた。




「…鈴か?」


後ろを振り返るとやはり鈴だった。


悪戯心から角を曲がってすぐ近くにあった電柱に身を隠し、鈴が来るのを待った。




「翔ちゃんのバカーッ!」


俺の近くまで来たのを感じた直後、悪態をつく鈴に思わず笑ってしまった。




ほんっと可愛いよな、鈴は---




「俺が何だって?」


「ギャァーーーーーッ!!!!!!」



ちょっ、声が大きすぎて耳が痛い。


鈴に声をかけると、物凄い勢いで飛び跳ねる鈴にやはり笑ってしまった。




顔を真っ赤にしながらぶつぶつ俺に文句を言う鈴を置いて、俺はさっさと歩き始めた。


その後ろを引っ付くように歩く鈴に、顔がにやけてしまう。



そのままずっと、俺について来てくれればいいのにな---


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