【完】幼なじみのあいつ ~翔ちゃんサイドストーリー~
何も話しかけてこない鈴が気になり、後ろを見る。
ボンヤリと考え事をしている鈴がそこにいた。
もしかして、亮平の事を考えているのか?
そう思うと無性にイライラしてきた。
俺はその場で立ち止まり、鈴が来るのを待った。
「おいっ!」
「イタッ!!!」
俺の傍まで歩いてきた鈴の額にデコピンをしてやったら、物凄い勢いで後ずさる。
そういやもう、タンコブは消えてるのかな?
額を擦っている鈴のデコの状態が気になって、鈴の前髪をかき上げてみた。
あの時のタンコブは、きれいさっぱり消えていた。
良かった---
「デコ、綺麗に治ったんだな?」
「おかげさまで。何?心配してくれてたの?」
好きなヤツの心配するのは当たり前だ、バカッ---
そんな意味も込めて、もう一度俺の愛情たっぷりのデコピンをお見舞いしてやった。
「いたっ!もー…、デコピンばっかりしないでよ?折角無くなったたんこぶがまた出来たらどうしてくれるの?」
涙目の鈴に、俺は笑いながらデコを撫でてやる。