【完】幼なじみのあいつ ~翔ちゃんサイドストーリー~
「ちょっと翔ちゃん、頭を叩かないでよ!」
「俺、起こしてやっただけ。ありがたく思えよなー」
そう言った後、俺はまた宿題に取り掛かる。
視界の端に見える鈴は、俺を睨みつけていた。
そんな犬みてぇな鈴が可愛くて、口元がニヤケそうになる。
しかしそこはグッと我慢だ…と、堪えた。
まずは宿題だ。
やっと宿題が終わった---
疲れきった俺はグッタリと机に突っ伏した。
「翔君?」
グッタリしている俺の横で、声がかかる。
この声は…、美香だな?
美香は俺の肩をソッと撫でながら、起こそうとしてくる。
その撫で方がちょっと…、ヤラシイんじゃねぇ?
しかし俺が好きなのは早紀ちゃん。
美香にそんな事をされても、全く感じないのだ。
取りあえず俺は顔を上げ、肩に乗っている美香の手をどけた。
「もう持っていってもいい?」
小首を傾げ可愛く言ってきた美香に『ありがとう』と言うと、ニッコリと笑顔を向けてきた。
コイツは俺の事が好きなのは知っている。
可愛いとは思う。
でもそんな風に可愛らしさ全開でぶつけてきても、フーン?…としか思えない。
ま、いいや。
そんな事より寝よう。
俺はまた机に突っ伏し、寝る体制に入った。