【完】幼なじみのあいつ ~翔ちゃんサイドストーリー~
「……そうなってたら、お前を嫁さんにしてやるのにな?」
「えっ?!」
本当に…、コイツを誰にも渡したくない。
そうするには嫁にするのが一番なのかもな。
コイツは、俺の事をどう思ってるんだ?
やっぱり亮平の事しか考えてなくて、俺の事なんて眼中にない?
いずれは亮平の嫁さんになるのだろうか?
そうなったら俺は笑って、二人におめでとうなんて言えるんだろうか?
そんなのイヤだ!!!
胸が締め付けられる感覚に辛くなった俺は、思わず鈴を抱きしめていた。
ふわっと鈴の髪から、シャンプーの香りがしてクラッとする。
このまま俺のものになればいいのに---
「…俺、馬鹿だよな?鈴が亮平と付き合うって知ってから、俺にとって鈴はとても大切な存在だったって気付いたんだ。イヤ…、亮平が鈴の事を好きだと聞いたあの時からかな?」
「翔ちゃん?」
「だから応援するよ。鈴が幸せになるのを」
本当は、俺の物になれと言いたいのをグッと堪えた。
幸せになれなんて、本当は思っていない。
俺が幸せにしてやると言いたかったんだ。
でもそんな事を言ったら、鈴を困らせるだけなのは分かっていたから言えなかった---