【完】幼なじみのあいつ ~翔ちゃんサイドストーリー~
「……あり、…がと?…私も翔ちゃんの事、凄く大切だと思ってるよ?」
「うん…、鈴、意味分かってねぇーだろ?---いや、分からなくていい。ただ俺って馬鹿だなーって思っただけ」
俺って本当に馬鹿だったよな。
大事な物を失って、初めて分かったんだから---
永遠に鈴を抱きしめていたかったけど、自分を抑えそっと鈴から離れた。
自分の中にあった鈴の温もりが消え、寂しく感じる。
また…、鈴を抱きしめたくなった。
でも、そこは我慢だよな。
「翔ちゃん、突然どうしたの?」
「…もうこんな事しねーから安心な。これからはちゃんと亮平との事、応援するし」
本当は応援なんてしたくねーんだけど。
俺を見る鈴の瞳が、なんだかやけに熱を帯びているように感じる。
それはまるで俺を誘っているように感じたんだが、多分気のせいだろう…。
もし今、俺を誘ってくれたら亮平からかっさらってやったのにな---
「…ありがとう。私も翔ちゃんと早紀ちゃんの事、応援してるからね?」
鈴の言葉に俺の心に、ヒビが入ったのを感じた。
やっぱり鈴は、俺の事なんか眼中にあるわけないか---