【完】幼なじみのあいつ ~翔ちゃんサイドストーリー~
「お前、ホンットなにやってんの?危なっかしいヤツだな…」
まさか階段から落ちたのか?と思い軽く頭の部分を触るが、タンコブらしきものない。
見える範囲には少し打撲らしきものはあるが、そんなに酷そうにも思えない。
多分、これってバスケの練習で出来たものなんだろう…と、勝手に思いながら鈴に布団を掛けてやる。
鈴の寝顔をジッと見た。
窓からそよ風が流れ込み、風が鈴の髪を揺らし鈴の髪の香りが俺のもとへ運んでくる。
しゃがみ込んでいた俺はベットの上で散らばっている鈴の髪の毛を、一房掴んでそっと口付けた。
髪から香るこのにおいに、引き込まれそうだ。
「…鈴?」
サラサラと、鈴の髪の毛が自分の手から滑り落ちてゆく。
心地良い空間に、眩暈がした。
鈴の顔を覗きこむと口を軽く開け、なんともあどけない顔で寝ている。
無防備な顔がまた可愛らしくて、食べてしまいたいくらいだ。
頬をそっと撫でてみた…。
プクッとした頬にキメ細やかな肌。
そこにそっとキスを落とした---
俺の唇が、鈴の柔らかい頬の感触を確かめる。
それから指で鈴の唇をそっとなでた。
瞬間、ピクリと身体が動いた。
それでも起きる気配はない---