【完】幼なじみのあいつ ~翔ちゃんサイドストーリー~
「鈴、好きだ」
鈴の唇にそっと口付けた---
すぐに自分の唇を離し、はっと目を見開く。
寝てる鈴になにをやってるんだ、俺は?
取り合えず、センセー呼びに行かなくちゃだよな…。
寝ている鈴を一瞥し、これ以上ここにいると自分の理性が持ちそうにない事を感じ取った俺は素早く保健室から出た。
そして俺は職員室で保健のセンセーを探し出し、鈴の事を報告してから理科室へと向かう。
見た目から鈴に怪我はないと思っていたが、それは俺の軽率な判断だった。
鈴はこの日、階段から落ち怪我をしたのだ。
そしてこの事故のせいで鈴は、地区大会に出場出来なかった---
3年間一生懸命バスケの練習をしてきて、最後の最後で試合に出れないなんて辛かっただろうな。
だから俺が鈴の分まで頑張ろうと、そう決意した。
* * * * *
夜になり、鈴の具合が気になっていた俺は、俺と鈴の連絡手段の一つである棒を片手に窓を開ける。
そして目の前に見える鈴の部屋の窓を、自分の今持っている棒で軽く叩いた。
トントン--
トントン---