【完】幼なじみのあいつ ~翔ちゃんサイドストーリー~
ガラッ---
英語のセンセーが来たのが分かり、さて起きるかと思ったと同時に感じる殺気。
バシッ!!!
俺に仕掛けようとしている鈴の攻撃がすぐ分かり、片手を上げて防御した。
「むっ…」
「お前の動きなんて丸見えなんだよ」
俺の言葉に、なぜか鈴は顔を赤くした。
は?
そんな鈴に、俺は目を丸くする。
何故、赤くなる?
流れるようなストレートの髪の毛が、肩の上でサラサラと揺れる。
透き通るような白い肌に、クリクリした大きな瞳。
それが何だか犬を彷彿とさせ、可愛いと思う。
唇もぽってりしているこいつは、結構モテル。
本人は、気付いていないが---
それなのに何故、告白をされた事がないのか?
それは幼なじみであり鈴の事が好きな、亮平にある。
実はコイツ、朝早く学校に行っては鈴の下駄箱の中に入っているラブレターを捨てたり、告白しようと近づく輩を鈴から遠ざけたりしているのだ。
何故、そんな事をするんだ?
そう思っていたが、鈴の事が好きだと聞いて納得だ---
ご苦労なこった…。
まぁ、しかしだ。
顔を真っ赤にしている鈴を前にすると、鈴を好きになる亮平の事を理解出来なくもないけどな。