【完】幼なじみのあいつ ~翔ちゃんサイドストーリー~
夏休み前日の終業式、早紀ちゃんに呼び出された。
正直もう会いたくなかったが、俺にも色々と原因があったんだから行くしかない。
うだうだ考えるのも俺らしくねぇ。
取り合えず重い腰を上げ、待ち合わせ場所である裏庭に向かった。
周りはもう鞄を持って、楽しそうに帰宅する姿で溢れ返っていた。
そんな中を歩く俺の心中は、腹減った…。
早く帰りてぇ…の二言だ。
「あっ、翔ちゃんっ!」
裏庭に着くと、俺に軽く手を振りにこやかに笑顔を振りまく早紀ちゃんがいて驚いた。
この前までの表情と全く違う、どこか憑物でも取れたかのような晴れやかさだ。
「おうっ!早紀ちゃん、久しぶり」
「うん、お久しぶりっ」
トコトコと俺の前にやってきた早紀ちゃんは、ピタリと俺の前まで来るとペコリと頭を下げた。
「今まで本当にゴメンなさいっ。…後、鈴さんにはちゃんと謝りました」
「いや…、俺も関係をあやふやにしてしまった事が良くなかったと思うから、早紀ちゃんのせいだけじゃない」
俺の言葉を聞いて、頭を下げていた早紀ちゃんはガバリと頭を上げる。