【完】幼なじみのあいつ ~翔ちゃんサイドストーリー~
コートに辿りつきいざ勝負ということで、まずはボールを鈴に渡す。
さ、お手並み拝見といきますか?
鈴がドリブルしながら、俺の様子を伺い見ている。
ほら…、
さっさとゴールを狙いな?鈴---
真剣な目をした鈴が、ドリブルしながら俺に向かってくる。
それだけの事なのに俺には嬉しくて、試合中だというのにニヤケてしまった。
試合中だと言うのにこんな顔を見られたら、馬鹿にしてるってきっと鈴に怒られるんだろうな---
と考えていたら、もう鈴がシュートを決めていた。
「やったっ!」
鈴が喜んでいるのを横目に、さて行きますかと首をコキッと鳴らす。
俺の手元にきたボールをそのままドリブルし、そして鈴に笑いかけた。
「…へーっ、やってくれるじゃん?じゃ、次は俺の番だな?」
ドリブルしている俺を、不安げに見る鈴。
さ、楽しもーぜっ?
「すーずちゃん、覚悟しろよ?」
その言葉と共に俺は、鈴の横を通り抜けてシュートした。
唖然としている鈴に、俺の口角が上がる。