【完】幼なじみのあいつ ~翔ちゃんサイドストーリー~
飯食ったらすぐに鈴との待ち合わせ場所へ行こうかと思っていたのだが、男子部員は飯の片付けをしなくちゃいけないらしい。
周りの男共が後片付けをする中、俺は雑巾片手にテーブルを拭いていた。
しばらくして明日の夜、花火しようかという話しになる。
今からコーチを引き連れて、みんなで花火を買いに行くことに決定してしまった。
って事は鈴とゆっくり話す時間は、今日はないだろう---
「ごめんっ、すぐに戻ってくる」
キャプテンに謝り急いで広い食堂を抜け、外へと飛び出した。
鈴との待ち合わせ場所に行くと、バスケコートのゴール下に寄りかかっている鈴が見えた。
ここは山の中にあるから、夜は少し肌寒い。
結構待たせていたから身体が冷えて、鈴が風邪を引かないか心配になった。
なんたって、修学旅行先で熱を出したくらいだしな。
「ごめん、待たせたな。ちょっと後片付けで遅くなっちまった。…で、ごめん!ちっと用事が出来たから、俺もう行くわ。話しはまた明日、この時間この場所で。っつー事で」
鈴がなにか言いたそうにしていたけど、もう花火を買いに行かなくちゃいけないし、鈴をここに置いておきたくなかったから早々と言った。
よしっ、言う事言ったし行くかっ!
俺が踵を返し走り出そうとしたら、鈴に腕を掴まれた。
「ちょっとっ!人を待たしておいて理由も言わずに帰るってどういう事?」
「今から3年の男共とコーチで花火買いに行かなきゃいけねーの。あっ!明日の夜は皆で花火大会だってさ。んじゃま、そう言う事で」
鈴を振り切って走って宿舎に戻ると、もうみんな外に出て俺の事を待っていた。