【完】幼なじみのあいつ ~翔ちゃんサイドストーリー~
「来いッ、ノブ」
俺の言葉にノブはドリブルしながら、俺の横を通り過ぎた。
しかしそれをすぐにカットした俺は、そのまま数度ドリブルしてシュート。
「ズリーッスよ、先輩っ」
「ズルくねーし…。お前、もう少しスピード出せるようにしねーとな」
俺の言葉にヘヘッと笑いながらがんばります、とそう素直に言った後輩が可愛くて俺はニッと笑った。
「おっ、そろそろ練習始めるみたいだな。行こーぜ」
周りの男共がワラワラと集まり出して来たから、俺は持っていたボールをコートに投げ捨て集まっている中に入っていった。
「ちょっと、倉持!こっちに来て」
バスケの練習をして、どれくらい時間が経っただろうか?
突然、俺を呼ぶ女子バスキャプテンの声に身体を止め、声のした方に振り返る。
おいっ!
そう突っ込みたくなる状況に、目を丸くした。
しかたなく男バスキャプテンに抜ける旨を伝え、女子バスのキャプテンの方に向かって歩く。
「鈴、なにやってんの?」
俺が声をかけると、鈴が膝を抱え涙目になりながら俺を見てくる。
何故かこの時、不覚にも鈴のその瞳にドキッとしてしまった。
鈴のくせに生意気な---