color【完結】
それからアマネさんとその人の話をすることはなく。今まで通りにゆったりとした時間を過ごす日々が続いた。
もうすっかり暑くなって、屋上で過ごすのは辛いかもしれない。
夏休みに入る前のある日。クラスの人が話しているのを聞いた。
「鬼塚さん、夏前からえらく機嫌がいいんだよ。たまにたまり場に来ては遊んで帰って行くらしい。」
「遊んで?」
「子供みたいにバイク走らせてんだよ」
「へー」
いやいや、子供はバイク乗りまわさないだろう。
鬼塚さんのイメージがわからなくなってきた。
僕の想像している鬼塚さんはゴリラと熊を足して2で割ったような強面のマッチョだ。そんな人が無邪気な子供みたいな笑顔…いやいやいや、それはそれで怖すぎる。
「夏だから髪が暑いって鬱陶しがってた。なんか可愛く見えたぜ…」
「ん?可愛い?」
…可愛い?僕の頭の中で、鬼塚さんがロングヘアーのゴリマッチョになる。
可愛いどころか、気持ち悪いんだが。
いじめ集団の筆頭である彼以外の人は、鬼塚さんを見たことがないらしく、不思議そうな顔をしていた。僕と同じ想像をしているんだろうか。