color【完結】
「あんた…大丈夫!?」
顔を上げた僕が、あまりにも酷かったんだろうか。
アマネさんは一瞬にして表情を変えた。
「目…見える?」
「見え、ます。」
正直、視界はかなり狭いけど。かけていたメガネごと殴られたらしく、まぶたが少し切れていた。そのせいで僕の目はかなり腫れていた。
この3日でちょっとは良くなったと思ったんだけどな…
「…手当、したの?」
「……。」
「してないのね。他のところも酷いんでしょう。ついてきなさい。」
有無を言わさぬ迫力のある声で、アマネさんが言う。そして僕の腕を掴んで立たせた。
「…足もどうかしてるわね。一番酷いのはどこ?」
歩きながら、聞かれた。どこだろう。一番酷いところ…
「…わかりません。」
どこも痛いけれど、痛みがわからなくなってきたんだ。喋れば口の中が痛いし、瞬きをすれば目が痛い。深く呼吸をすればあばらが痛いし、歩けば足首と太ももが痛くて、座ったら尾てい骨が痛い。
そう言ったら、僕の手を引いていたアマネさんがぐるりと振り向いた。
「…あんたねえ、抵抗しないの?」
「抵抗?したら、もっと殴られませんか?」
まあ、しなかったけど気を失ってたな…
きっと抵抗しても同じ結果だっただろう。
保健室に連れてこられ、アマネさんは鍵を閉めた。
「先生は?」
「保険医はここにはいない。職員室に居るのよ。」
保健室は、不良が医療品をかっぱらいに来るらしい。そこで、危険だと判断された保険医は職員室で待機することになったそうだ。
でも、かっぱらう、と言うわりには保健室は綺麗だった。