color【完結】
ガチャ、と音がして誰かが室内へと入ってくる。
「あら、起きたの。」
「アマネさん…」
ちらりと薬を一瞥したアマネさんは、驚いた表情をしてから、困ったように笑った。
「意外と警戒心があるのね。ただの痛み止めと、開けてもない水よ。」
目の前で飲んで見せましょうか?と言われた。
僕の考えは読まれていたらしい。
「…すみません。」
「薬、盛られたことあるの?」
「一度だけですが。」
あの時は下剤だった。ものすごく辛かった。一晩トイレにこもりっぱなしだったし、食べたものはすぐさま降りてきたし。
二度とあれはごめんだ、と思っていた。
「間違いなくわたしが置いていったものよ。飲まないでおく?」
「いえ、いただきます。」
痛み止めだと言うのなら、欲しい。
手当てをしてもらったとはいえ、痛いものは痛いのだ。
薬を飲むと、アマネさんは口を開いた。