color【完結】





「まさかこんなに酷いとは、思ってなかったわ。」



僕のいじめのことだろうか。まあ、今までで一番酷かったしな…




「何か、手は打たなかったの?」


「なにか?」



手を打つ、とは?




「教師に相談するとか、親に相談するとか。少なくとも目立つようないじめは無くなるでしょう?」




ああ、なるほど。誰かに相談、か。




「先生方は“善処する”と言ってくださいました。去年のことですが。それからなんの変化もありません。あと、僕の両親は5年前に他界しました。」


「…っ、」





アマネさんは驚いて目を見開いて、小さく「ごめん」と言った。



「構いません。」




両親ともにいないなんて、珍しいことだろうし。



「…一人暮らしなの。」


「はい。中学までは祖父の家で暮らしていたのですが、祖父が老人ホームへ入ることになったので一人でここへ来ました。」




手紙のやり取りはある。祖父の字は達筆過ぎて読むのに苦労するが、いつも僕の状況を伺う内容が書かれている。まあ、いじめられているなんて返したことはないけれど。










< 24 / 42 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop