color【完結】
アマネさんはなにか思案しているような顔だったけど、何を考えているのかはぜんぜんわからなかった。
僕は僕で、また考える。
もう、学校など諦めてしまった方が良いのだろうか。このままここにいても、何の意味もないような気もする。
そんなに勉強は好きではないし、面白くもない。というかあんな単純作業の繰り返しは嫌いだ。教科書に書いてあることを延々と読み続けるだけなんて、面白くもなんともない。
そう思って、僕には2人の遺言以外に学校へのこだわりはないな、と思った。
アマネさんに会えるのはとても魅力的だけれど、自分の身を犠牲にするほどだろうか。
「ねえ。」
「っ、はい?」
アマネさんにちょっと失礼なことを考えていたから、吃る。僕の考え、漏れて、ないよな…
「あんたに暴行してるやつらの名前は?」
「は?」
なぜそんなことを聞くのだろう。
「…あたしの知り合いの知り合いだったら、と思って。」
「…はあ。」
アマネさんがそんな人と知り合いだとは到底思えない。彼らの知り合いということは、きっと暴力に抵抗がない人なのだろう。そんな人と、アマネさんが……。うん、繋がらない。
「お知り合いではないと思いますが…」
「いいから、」
そう言われても。
「僕は、彼らの名前を知らないんです。」
正確には、覚えてない、だけれども。