color【完結】
「…。」
「…。」
沈黙が僕らの間に流れた。
うん、アマネさんがちょっと呆れてるのはわかるぞ。
「…そう、知らないの。」
「すみません。」
謝ることじゃないけど、とアマネさんは言った。だけど、それに続けて苦笑した。
「知らない、って…あんたやっぱりちょっと変だわ。前から思ってたけど。」
笑われて、僕も困ってしまった。変、だろうか。
「変ですか…」
「変わってるわ。あたしだったらなんとしてでもそいつらを貶めてやるもの。」
どんな手を使ってでも、いじめなんて許さない。とアマネさんは勇ましい言葉を放った。
そして、真剣な顔になって言う。
「…あんたのは、いじめなんて生ぬるいもんじゃない。それはもう立派な暴行よ。傷害罪。それも、無抵抗の相手にそこまでやるなんてありえないわ。」
力がある人間ならなおさら、力の使い方は考えなきゃならない、と語気を強くして言った。
「…貶める、と言っても、僕にはその術がありません。」
「警察はそんだけ怪我してれば動いてくれるわよ。」
「それじゃあ、彼らが逮捕されるということですか?」
「そりゃそうでしょ。」
未成年だから法は甘いけど、一度逮捕された人間に世間は甘くないわよ、とアマネさんは続ける。
だけど、それじゃ…
「彼らの人生、めちゃくちゃですね。」