color【完結】
「ここでそいつらを放置したら、そいつらは自分の罪の重さを知らない。暴力が罪だってことに気付かないのよ。そしてそのまま社会に出て、また同じことを繰り返すかもしれない。そしたらその時は、もっと重い罪を問われるかもしれないのよ。」
アマネさんは、諭すように続ける。
「罪を犯した人間は、それが罪だってことを理解しないとまた繰り返すわ。それを気付かせてやれるのは、いま、あんたなんじゃないの?」
他人が何を言ったって、わからないわよ。と言い切った。
「そう、ですね…」
アマネさんの話は、僕には考えもつかないことだった。
彼らの人生が…ということまでしか考えてなかった。
確かに、そのまま大人になってしまったら、と考えると恐ろしいものがある。
「…それに、そんな人間が親になったらどうなると思う。」
低い声で、アマネさんが言う。
彼らが、親に…
「子供に暴力を振るうかもね。それか、その子供もまた同じような人間になるかもね。」
いまのアマネさんの顔は、強い意思というより暗さをまとっている。
なにか、あったんだろうか…
「なんにせよ、そうなったら子供が可哀想なのよ。」
くる、とアマネさんは時計のほうに振り返った。それで僕からその表情が見えなくなる。