color【完結】
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「…で?死にたいわけ?」
うちの高校は制服は自由だけど、季節の変わり目で暑くなってきたこの時期に紺色のセーラー服を着ているのはほんとに少数だろう。いないわけじゃないけど。
真っ黒な長い髪をうっとおしそうにはらった彼女は、単刀直入にそう聞いてきた。
「いや……」
「ここから飛び降りたら死ぬわよ?」
「はあ……」
「いじめられてるの?」
腕を組んで、どう見ても僕の方が背が高いのに、見下すかのような視線を向けてくる。
「いじめ…ですかね?飛び降りろって言われて…」
「そう言われたから飛び降りるの?死ぬのに?」
「そうですね…」
「あんたには自分の意思ってものが無いの?」
言葉の裏に、バカじゃないの?という気持ちがある気がする。まあ、自分でもバカだなあとは思うけど。