【完】幼なじみのあいつ ~亮平の恋愛編~
「私、絶対にこの縁談は白紙にする!」
「なぜ、そう断言出来るんです?まだそうなるかどうか分からないでしょう?」
「大丈夫っ!絶対に親に分からせるから」
さっきまでの悲しげな表情とは打って変わって、目が輝き出す。
何でそんなに急に気持ちが変わったのかは分からないが、元気になって良かったと他人事ながらホッとした。
「そうですか。頑張って下さい」
「ありがとう。あんたも頑張んなさいよ?」
お姉さんの言う頑張んなさいの意味が、よく分からない。
何を頑張れと?
首を傾げる俺を見て、ふふっ…と含み笑いを浮かべる女。
そして徐々に、女の顔が目の前まで近づいてきた。
何だ?と思ったら、頬にキスされた。
「はっ?」
「あんたが卒業したら、迎えに行くから待ってなさい」
「…迎えに行く?」
この女の言っている事がよく分からなくて目を見開いていると、そいつは楽しそうに目を細める。
「卒業って言うのは、あんたが大学を卒業する時期の事よ?」
話しについていけず、唖然とする。