【完】幼なじみのあいつ ~亮平の恋愛編~
俺の頷きを確認したその女は、俺を抱きしめながら耳元で小さく笑う。
「私の名前は冴子。貴方は?」
「…亮平」
俺を惑わす香りには逆らえず、その問いに素直に答えた。
「そう…、亮平。大学を卒業したら迎えに行くから待っていなさい。いいわね?」
そして俺の返事も待たずに、…冴子は俺に口付けてきた。
俺を惑わす香りとその口付けに心を捉えられ、贖う事など出来なかった。
それから俺達は名前を名乗り合うのみで、お互いの事など一切話さずにその場で別れる。
「また会いましょう」
冴子の…、
その、一言を残して---