【完】幼なじみのあいつ ~亮平の恋愛編~
「…卒業おめでとう、亮平」
「ありがとうございます」
花束を受け取ったまま俺は、今だ冴子を唖然と見ていた。
冴子の手が、俺の頬に触れる。
そして眩しそうに、目を細めた。
「貴方の為の道は、作っておいたわよ」
俺は、戸惑う事なく頷いた。
そんな俺を見て、冴子は綺麗に微笑んだ。
これからの道…。
きっとイバラの道になるであろう事が容易に想像出来、心の中でぐっと気持ちを引き締める。
「卒業までは遊んでいいって言っておいたのに、帝王学の勉強やSPの事まで学んだりして…。それって全て私の為に勉強したのだと、自惚れていいのかしら?」
「………」
そうだ。
俺は冴子が社長をやっていると知ってから、俺なりに冴子の力になれるようたくさんの勉強をした。
社長ではあるが、冴子は会長にはなれない。
冴子には、兄がいるからだ。
それでも俺は冴子の為に、出来る限りの事をしようと遊ぶ事なく殆どの時間を勉強に費やしていた。
「ま、いいわ。それにしても久しぶりに亮平を見たけれど、昔に比べて格段と男らしさが増して素敵になったじゃない?」
私の目に狂いはなかったわ…、と言いながら満足気な顔で笑う。