【完】幼なじみのあいつ ~亮平の恋愛編~
「冴子さんは相変わらず、綺麗ですね。男がほおっておかなかったんじゃないんですか?」
「そんな暇なかったわよ。今まで大変だったんだから。さ、そろそろ行くわよ?今日は貴方の挨拶周りで忙しいんだからね」
そう言って背筋を伸ばした冴子は、少し先に見える車に向かって歩き出した。
瞬間、冴子の香りが俺に纏わりつく。
その香りに誘われるかのように冴子の横に並び、腰を抱いた。
そんな俺に驚いた冴子は俺に挑戦的な笑みを向け、そして腕に手を絡め肩に頭をもたれさせる。
大人の雰囲気の持つ冴子のこの甘えた動作に少しばかりうろたえるが、冴子の香りに包まれながら思った。
俺はこの先ずっと、冴子が俺を必要としてくれる限り影のように守って行くのだろう。
それでいい。
この香りを持つ冴子の傍でこの人を守る事が、俺の幸せのような気がするから---