【完】幼なじみのあいつ ~亮平の恋愛編~
「あたしさ、これでもお金持ちのお嬢様なわけよ。…それって傍から見たら凄く幸せそうに見えるでしょ?………でもね、自由がないの」
「…自由がない?」
俺は金持ちになった事がないから、”自由がない”の意味がイマイチ分からなかった。
聞き返した俺の言葉に寂しそうにビールに視線を向けたまま、ジッ見つめる。
「私ね、もうすぐ結婚するの。相手は親が勝手に決めてきた相手。…私にとってその人は、好きでも何でもないどうでもいい人。そんな相手と結婚しなくちゃいけないなんて、不幸以外の何でもないと思わない?」
「親に、結婚したくないと言わないのか?」
「…うん。言ったところで、結婚を白紙にしてくれるとは思えなくて」
ビール缶を額に当て、苦しそうに目を瞑るお姉さんに正直驚いた。
今時、政略結婚なんてあるんだ?
まぁ、庶民の俺としてはビックリな話だけど、金持ちにとっては当たり前の世界なのかもしれないな---