はちみつ色の太陽
 


――――唯一、そんな日下部くんに近付けるのは、彼の幼馴染で親友の、刈谷(かりや)くんだけだ。


刈谷くんも日下部くんに負けず劣らずカッコイイけれど、それでも日下部くんには敵わない。


それに、刈谷くんは日下部くんと違って別の意味で女泣かせで有名で、常に色んな女の子と仲良くしているし。


硬派なだけでなく勉強も出来るし、運動神経も抜群。


そんな完璧な日下部くんだからこそ、女の子達は自分に振り向かせたいと躍起(やっき)になる。


だけど、いつだって、その綺麗なアーモンドアイは彼を慕う女の子達に向けられることはなく、ひたすらにただっ広いグラウンドへと向けられていて……



「……今日も相変わらず、隙のない王子っぷりだわね」



ぽつり、と。

独り事のように零されたミドリの言葉に、私は苦笑いを零しながら頷き、視線の先の日下部くんから目を逸らして席についた。



 
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