はちみつ色の太陽
 


胡座をかき、どこに忍ばせていたのか携帯を取り出した潤は、真っ黒に染まっていた画面を軽快にタップした。


確かに潤の言うとおり、今朝学校に着くと蜂谷がこの一週間履いていた、俺の上履きを返しに来た。


「ありがとう、助かりました」そう言いながら、やっぱり花が咲いたような笑顔を見せた蜂谷。


その笑顔を見ながら、本当なら漸く歩きにくいスリッパで過ごす生活から解放されて、嬉しいはずなのに……なんだか、胸の奥がざわついて。


だけどそれはきっと、蜂谷に対して俺が罪悪感を抱いているからなんだと思う。


あいつ、結局最後まで俺のせいだって言わなかったし……


ぼんやりとそんなことを考えながら、自分もまた背中を壁に預けると――――なんとなく頭に浮かんだ、もう一つの疑問を隣に座る女の事情に詳しいらしい男へと投げかけた。



「……そういう時って、」


「え?」


「気分が悪くなったり、フラついたり……最悪、倒れたりもするのか?」


 
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