はちみつ色の太陽
“本当は、付き合ってなんかないの”
喉の奥まで出かかっていたその言葉は、突然現れた彼……日下部くんによって、止められてしまった。
「……っ、やっと見つけたっ。お前、無駄に足速すぎだろ……っ」
そう言う日下部くんも走ってきたのか息を切らせ、私を責めるように睨んでいる。
けれど、その視線と言葉、姿に思わず固まってしまった私は返事をすることも忘れて、呆然と日下部くんを見るしかできなくて。
「……お前、ふざけんなよ」
そんな私を前に一度だけ大きく息を吐いた日下部くんは、真っ直ぐに私を見つめたままゆっくりと距離を縮めてくる。
なんで、日下部くんが……?
縮まる距離と比例して増える動揺は隠すことすら困難で、ようやく私が呼吸を取り戻した頃、日下部くんの体温は、私の目の前にあった。