はちみつ色の太陽
 


そこまで言うと居た堪れなくなったのか、口元を手の甲で隠し、私から視線を逸らしてしまった日下部くんに、不覚にも胸がキュンと高鳴った。


耳まで顔を赤く染め、眉根を寄せている日下部くんは相変わらずだけど。


今は、それが不機嫌だからという理由でそうなっているわけではないことは、よくわかる。



「大体にして、実行委員の仕事を一人でやるなんて無理に決まってんだろ。今年は例年以上に大変なんだって話なのに……」


「先生の話、聞いてたの……?」


「っ、当たり前だろ!?二人で任されたのに、お前だけに押し付けるようなことするわけないだろ!俺をなんだと思ってんだよ、お前は……!」



声を荒らげ、投げやりにそんなことを言うけれど、相変わらず顔は赤く染まったままで。


そんな日下部くんの言葉と様子に、胸が温かさに包まれた。


日下部くんは、やっぱり冷たい人なんかじゃない。


口調は乱暴だけど本当は優しくて、照れ屋で……天邪鬼なところがあって。


この数週間で知った日下部くんのそんな一面の一つ一つは、やっぱり私の独りよがりや勘違いじゃなかった。


 
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