はちみつ色の太陽
「おい。聞いてるのか?」
思わず日下部くんから視線を逸らし、俯き気味に靴を脱いだ私は上履きを足元へと落とすと、たった今まで履いていた靴を下駄箱の中へとしまった。
その間も私を見つめる日下部くんの視線を痛いほど後頭部に感じて、顔を上げることもできない。
……別に、日下部くんに隠しているわけじゃない。
日下部くんに本当のことを言いたくないわけでもないし、言っても何か支障があるわけでもないけど。
それに……体育の授業を共にするクラスの女子のほとんどは、私の事情を知っている……と、思う。
だから本当に今更で、別に私自身、隠しているつもりもないし……隠す意味もないし。
それでもやっぱり躊躇(ちゅうちょ)してしまうのは、真実を告げたあと、日下部くんがどんな反応をするのか、どんな目で私のことを見るのか……
―――― “ 可哀想 ”。
全てわかってしまうから、それが不安なんだ。