はちみつ色の太陽
 



日下部くんに向けた言葉を遮って、スルリ……と、滑り込むように腕に絡められた小さな手。


細くて長い、それでいて色白な指は見慣れないもので、思わず手の主を目を見開いて見つめてしまう。



「し、白坂さん……?」


「愛美、嬉しいなぁ。朝から、ミツキちゃんに会えるなんて!」


「っ、」



ついこの間、そして呼び止めるまでは私のことを“蜂谷さん”と呼んでいた彼女が、突然私のことを“ミツキちゃん”と、呼んだこと。


最近まで話したことのなかった彼女が、何故か自分の腕に手を絡め、屈託のない笑顔を私に向けていること。


私にわざわざライバル宣言までした彼女が、どうしてこんなにも友好的に接してくれるのか――――


全てが唐突過ぎて、私は思わず声の出し方を忘れてしまった。


 
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