はちみつ色の太陽
 



「あ、あの……陽くん……?えと……私……」


「……蜂谷、遅れるなよ」


「っ、」



けれど、そんな白坂さんの可愛さも視界に入っていないといった様子の日下部くんは、結局一度も白坂さんに視線を向けることはなかった。


一刀両断とは、まさにこのこと


「怒ってる?」と聞いた白坂さんの質問どころか存在自体を完全無視で、さっさと一人で教室に向かって行ってしまった。



「……、」



残された潤目の白坂さんと私は、そんな、消えてしまった日下部くんの背中を呆然と見つめることしかできなくて。


く、日下部くんって、実は目が悪いんじゃないの……?っていうか、まさか耳も遠いとか?


この可愛さ溢れる白坂さんの存在を無視するとか、他の男子が見てたら怒号と共に鉄拳が飛んできそうだ。


 
< 172 / 461 >

この作品をシェア

pagetop