はちみつ色の太陽
 


それまで必死に後ろを追い掛けて来ていたシラサカは、俺が不意に足を止めたことで驚いたのか、大きくバランスを崩した。


そのまま上手く身体を揺らして、再び俺の腕にしがみつき、倒れそうになった身体を自分自身で支える。


下駄を履いているせいで、足元がおぼつかないのは事実だろうけど。


こんな時でも手を貸す気になれない自分は、本当に冷たい人間だ。



「ご、ごめんね……っ。躓いちゃって……」



だけど、言いながら頬を染め、上目遣いで俺を見上げるこの女。


“ごめんね”、とは言いつつ、俺の腕をしっかりと掴んだまま離す気もないらしい。


多分……俺が、このまま何も言わなければ、花火を見終わるまで離すつもりもないだろう。


……さすがの俺でも、このあからさまな好意に気付かないほど鈍くない。


 
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