はちみつ色の太陽
――――人混みの中、花火打ち上げ3分前のアナウンスを聞いた。
それに色めき立つ多くの人たち、良い場所で花火を見ようと我先にと動き出す人たち。
笑い声や叫び声、泣き声や人を呼ぶ声。
だけど、たった今、ここにいる自分も当事者のはずなのに、その何もかもが他人事で、何もかも俺の心を1ミリも動かしてはくれなかった。
“ミツキちゃんって、嘘吐きな女の子なんだよ”
俺の目の前で大きな瞳いっぱいに涙を溜めている、この女も。
――――今までも、こうして俺に好意を寄せていたらしい女達に共通する、“ある点”。
「だからね?陽くんは、ミツキちゃんに騙されてるの」
この女の存在も、好意も、言葉も、何もかもが。
俺にとっては全て他人事に感じられ、俺の心を1ミリだって動かしてはくれないんだ。