はちみつ色の太陽
 


……ああ、なんだ。

高橋くんは、知ってたんだ。


別に、知っていても何の違和感もないけれど。


寧ろ、私のことを好きでいてくれたとしたのなら、夏でも長袖を手放さない私に疑問を持たない方が、おかしいだろう。


―――夏なのに履いている、この黒いタイツも。


当たり前に着慣れてしまった長袖のカーディガンと、鞄に仕舞われた折り畳みの日傘も。


つい忘れていたそれらを今更ながらに意識したら、虚しさの塊が胸に重石のように落ちてきた。


 
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