はちみつ色の太陽
 


……美月、と。

日下部くんに初めて呼ばれた名前は、夜空に輝く月よりも眩しく輝いていて。


―――太陽に、嫌われてる。

その事実が今日まで私の胸に重りの様に、のし掛かり、苦しくてたまらない時もあったけど。


こんな風に、その事実を受け止めた上で……私の想いを汲んでくれて“ 強さ ”に繋げてくれる人が現れるだなんて、思ってもみなかった。


今日までずっと、強くならなきゃ、下を向いてばかりではいけないと自分を奮い立たせてきたつもり。


辛くても笑えと、自分に言い聞かせてきた。


それでもそれは決して容易なことではなくて、周りから“可哀想”だと視線で訴えられる度、弱い自分に打ちのめされた。


だけどもう……そんなの、気にしなくてもいいのかもしれない。


だって日下部くんの言う通り、私は今、例え太陽に嫌われても前を向いて歩いてる。


前を向いて歩かなきゃって思ってる。


そんな私を周りがどう思おうとも、関係ない。


私はこれからも私のペースで私らしく、アレルギーと付き合っていけばいいんだ。


こんなにも、単純に。


“ 太陽に嫌われている ”という事実が、ストン……と胸に落ちてきて受け止められたのは、初めてだった。


 
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