はちみつ色の太陽
 



突然背後から聞こえた地を這うような低い声に、その場にいた全員が肩を揺らして振り向いた。


凍りつく空気。

けれど、視線の先。そこにいた人物は、そんな私たちには目もくれず、先輩たちを押し退けながら教室の中へと入ってきた。



「……っ、誰だよ、こんな……こんな、くだらないこと!」



アーチの残骸の一つを拾って、怒りに染まった声を出す――――日下部くん。


その日下部くんの様子に、居た堪れないと感じたらしい後輩の子たちの何人かが、ついには啜り泣きを始めてしまった。



「念の為に確認したら、他のクラスの作っているモニュメントは無事だった。だから、壊されたのは蜂谷さんと日下部くんが担当してたアーチだけなの」


「ウチだけ……?」


「……うん。だから、犯人は意図的にコレだけ狙って壊したんだと思う。理由は、わからないけれど……」



 
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