はちみつ色の太陽
履き慣れたローファーに足先を入れて爪先を押しこむようにトントン、と靴を鳴らせば自然と心が前を向く。
そうしてゆっくりと玄関を開けると同時、お気に入りの日傘を拡げた私は――――
いつも通り。太陽の遮断された世界に、たった一人、身を投じるのだ。
「美月(みつき)、気を付けていってらっしゃいね!」
玄関を閉める直前、背後から聞こえたお母さんの声に「はーい!」と答えて笑顔を見せれば、今日も太陽に嫌われた私の一日が始まった。