はちみつ色の太陽
 



最早呆れを通り越して苛立ちを露わにしたミドリは、言いながら目を三角に吊り上げた。


だけど、そんなミドリを前にしても私はまだ夢と現実の区別ができなくて。



「あんたねぇ…………体育の授業中に突然美月を抱えた陽くんが現れて、女子は途中から授業どころじゃなかったんだよ!?挙句、先生が保健室に運んでやってくれなんて言ったら、陽くんは何も言わずにあんたを抱いたままプールから消えていくし!あの陽くんが女の子に優しくしてたどころが、お姫様抱っこまでしちゃって……!もう、あんたと陽くんが付き合ってるんじゃないかって、今、学校中のみんなが噂してるよ!!」



まくし立てるように言ったミドリの言葉に、私は絶句するしかなかった。


もし――――もしも、たった今、ミドリが言った言葉が本当なら。


倒れた私を保健室まで運んでくれたのは、日下部くん?


あの日下部くんが、私を?


ってことは、いやいや、ちょっと待ってよ、いや、ほんとに。


だとしたら、私が見たアレは全部夢ではなくて、何もかもが現実で。もしそうなのだとしたら、私はこれから一体どうしたら――――



「…………蜂谷、起きたのか?」


「っ、」



 
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